「持分なし医療法人」への移行 第93回

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img_0847元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成18年の医療法改正により、非営利性の徹底と地域医療の安定性の確保のためということで、持分あり医療法人の新規設立は認められていません。それ以前に設立の持分あり医療法人は「経過措置医療法人」とされています。

持分あり医療法人については、定款の規定に基づいて、持分の払戻を請求されるリスクを回避するために、「持分なし医療法人」への移行を厚生労働省は推奨しています。

「持分なし医療法人」への移行について、計画的な取組を行う医療法人を、国が認定し、税制優遇等の支援を行う移行促進策を講じられています。移行期間の認定制度の実施期間は、平成26101日~平成29930日までの3年間です。あと1年となっています。

税制措置として、相続人が「持分なし医療法人」の持分を相続または遺贈により取得した場合、その法人が相続税の申告期限までに移行計画の認定を受けた医療法人であるときは、その持分に対応する相続税額については、移行計画の期間満了までその納税が猶予され、持分の全てを放棄した場合は、猶予税額が免除されます。

株式会社の場合、「事業承継税制」により、相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例が認められていますが、当然、持分は残ります。

しかし、医療法人の場合は、持分がなければ、相続財産にもならないということです。相続税の申告期限までに移行計画の認定を受ければ、相続税額・贈与税が結果的に免除になります。地域医療の安定性の確保という大義名分はありますが、かなりの優遇措置となっています。

※投稿時の法制度を基に記載しております。詳しい内容については当方にご相談ください。

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