2017年 10月 の投稿一覧

小規模宅地の特例 第144回

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

相続税の基礎控除が、平成27年より5,000万円から3,000万円に引き下げられ、相続税の対象者が増えています。

それに伴い、小規模宅地特例の適用者も増えています。日経新聞によると、平成26年の適用件数は2万7,038件、27年の適用件数は6万7,325件と約2.5倍になっています。

小規模宅地とは、被相続人等の「事業」の宅地等又は被相続人等の「居住」の宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分をいいます。小規模宅地については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。

小規模宅地の特例は相続や遺贈で宅地を取得した親族の「事業」と「居住」を税制面から保護しようとするものです。「居住」の宅地が特定居住用宅地等に該当する場合、面積330㎡までは80%評価を下げることができます。

自宅不動産が3,000万円の評価とすると、3,000×(1-0.8)=600万円と下がります。これを適用するだけで、相続税の基礎控除を下回る可能性があります。

特定居住用宅地に該当するためには、土地の要件として被相続人の「居住」に供されていた場合となります。相続する人の要件は、配偶者、亡くなった人と同居していた相続人、それと通称「家なき子」です。

「家なき子」特例は、たまたま相続開始時に別居していたために、同居親族の特例が使えない場合に、これを救済するために準備された制度です。相続開始前3年以内に自己または自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがない、すなわち宅地を取得する親族に持ち家がないこが要件となります。

ただし、被相続人が居住の用に供していた家屋は除かれます。これは親の敷地に親族が家を建築し、被相続人が居住していた場合を認める趣旨とされます。

慎重に適用要件を確認しましょう。

生前贈与分岐点 第141回

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

毎朝、事務所職員と岩下忠吾税理士の「相続税の重要ポイント」(平成28年度全国統一研修会)のビデオを見ています。実例・経験を交えてのお話につい引き込まれてしまいす。

その中で、生前贈与分岐点のお話がありました。まず相続税のシミュレーションをして相続税を算出し、相続税を遺産総額(債務控除後の金額)で割って相続税負担率を計算します。

相続税負担率が12%の場合、12%以下の贈与税率になる贈与税額を算出します。ここで贈与税負担率は贈与税÷贈与財産額で計算することとします。岩下先生の計算式では、基礎控除(110万円)を差し引いた後の贈与財産額で計算されていますので、少し異なります。

贈与税率は贈与財産額に応じて高くなっていきます。どこの税率を使用するかは、そのあたりの税率で何通りか計算してみてます。

710万円の贈与の場合、贈与税は90万円になり、贈与税負担率は90÷710=12.6%となります。710万円以下の場合の贈与税率20%と控除額30万円で方程式を解きます。

贈与税分岐点をxとすると、贈与税額yは

(x-1,100,000)×0.2-300,000=y

となり、x÷y=0.12を解くと、X =6,500,000円となります。12%贈与税負担率になるのは650万円の贈与の場合であり、これが贈与分岐点となります。相続税率と同じになります。

650万円以下の贈与でしたら、相続税よりもお得になります。例えば、310万円贈与すれば、20万円の贈与税であり、6%の贈与税負担率となります。

これを毎年繰り返していくと、大きな相続税対策となります。相続税対策で最も効果があるのは、時間を味方につけて、毎年贈与していくことです。

しかし、岩下先生のビデオで仰ってまいしたが、贈与しすぎて、奥さんから離縁されたおじいちゃんもいるそうです。今後の生活のことも考えて贈与しましょう。