第378回 中小企業倒産防止共済制度の改正

保険・年金

倒産防止制度の改正が令和6年10月1日から適用になります。倒産防止共済法の共済契約の解除があった後、共済契約を締結した場合には、その解除の日から2年間は損金計上ができなくなります。

今年1月の中小企業庁の「中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について」では、本来の倒産防止の目的ではなく、節税目的で使用されていることが不適切であるとしています。

その資料によると、平成23年10月に掛金積立限度額が320万円から800万円に増額してから、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにも関わらず、加入が急増しています。解約手当金の支給率が100%となる加入後3年目、4年目に解約が大きくなっています。近年その傾向が特に顕著になってきており、約33%が3年目、4年目に解約してます。

そして、解約してすぐに再加入する例が多くなっており、再加入者のうち2年未満に再加入する法人は約8割を占めるそうです。脱退・再加入は、積立額の変動により貸付可能額も変動することとなり、連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではないと、中小企業庁ではみなしています。加入者へのアンケートでは、共済への加入理由として、「税制上の優遇措置があるため」を理由とする法人が約3割となっており、「節税目的」による加入とみています。

「節税目的」とはいっても、節税にはなりません。単なる課税の繰延です。掛け金を損金に計上して、当年度は税金がその分安くなっても、いずれ掛け金が戻ってきたときには雑収入で計上しますので、その時に税金が発生します。例えば、800万円をまとめて計上すると、中小企業の特例の利益800万円までは、実効税率が25%程度と10%低くなりますが、800万円を超えて35%の実効税率で課税され、毎年、税金を支払っていた方が安く上がったとうことにもなりかねません。

「課税の繰延」というとわかりにくいですが、要は納税を先延ばしにするだけで、何ら節税になっていないことを認識しなければなりません。

タイトルとURLをコピーしました