倒産防止共済制度の改正が令和6年10月1日から適用になります。倒産防止共済法の共済契約の解除があった後、再度共済契約を締結した場合には、その解除の日から2年間は損金計上ができなくなります。
今年1月の中小企業庁の「中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について」では、本来の倒産防止の目的ではなく、節税目的で使用されていることが不適切であるとしています。
解約してすぐに再加入する例が多くなっており、再加入者のうち2年未満に再加入する法人は約8割を占めるそうです。脱退・再加入は、積立額の変動により貸付可能額も変動することとなり、連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではないと、中小企業庁ではみなしています。加入者へのアンケートでは、共済への加入理由として、「税制上の優遇措置があるため」を理由とする法人が約3割となっており、「節税目的」による加入とみています。
「節税目的」とはいいながら、実は節税にはなりません。単なる課税の繰延です。掛け金を損金に計上した年度は税金が安くなっても、いずれ掛け金が戻ってきたときには雑収入で計上しますので、その時に税金が発生します。例えば、800万円をまとめて雑収入に計上すると、中小企業の特例で利益800万円までは、実効税率が25%程度と10%低くなりますが、800万円を超えた部分は35%の実効税率で課税され、毎年、税金を支払っていた方が安く上がったとうことにもなりかねません。
最近の状況から言えば、保険ではありませんが、中古車を購入することは当年度の節税につながりやすいです。半導体不足の影響で、新車は半年~1年待ちとなっています。その分、中古車市場が活発になっています。中古車の場合、耐用年数の6年を超えていることが多いので、中古耐用年数の2年を使用します。2年とはいっても、定率法を採用していれば、今は200%定率法となりますので、実質1年で償却となります。取得年度は、年間の減価償却費(全額)の月数分計上します。期首月に取得すれば、当年度で全額が減価償却されます。
保険は「課税の繰延になる」というと分かりにくいですが、要は納税を先延ばしにしているにすぎません。何ら節税になっていないことを認識しておきましょう。