
元財務官僚の高橋洋一さんの著書です。第二次安部内閣ではアベノミクスによる大規模な金融緩和や機動的な財政出動の理論的支柱となっていました。その高橋さんによる金融本です。
新NISAに代表される政府お墨付きの「撒き餌」に釣られて、「私も投資しないといけないのか」と思ってしまった人が大量に生まれ、金融機関のカモになり、搾り取られるのが目に見えるので、警鐘を鳴らすために出版したそうです。高橋さんは常に「本当に有利な投資情報を知っていたら、僅かな助言報酬で他人に教えるよりも自分が投資する」と言い、一般の人は安易に手を出すべきではないと危険性を強調してきました。
老後の備えにしたいのであれば貯蓄が一番で、預金にはあまり利子は付きませんが、お金の何割かを手数料として金融機関に持っていかれることはありません。どうしても投資をやりたい人には、国債を勧めいます。
令和5年3月末の政府の貸借対照表(バランスシート)では公債・借入金が1,143兆円あり、702兆円の債務超過になっています。政府、マスコミはこの返済が大変だと騒いでいますが、高橋さんによれば全く問題ありません。日銀は政府の子会社ですので、連結した統合政府バランスシート上では、日銀が保有する国債と相殺され、政府の債務は瞬時に減少します。また、政府がどれだけ日銀に利払いをしても、日銀納付金で日銀の利益はまるまる政府に戻ってきますので、政府は国債について利払いする必要がありません。
一方、元本は満期に償還されますが、国債で償還するので、借り換えをしているのと同様で、利払いも現金での償還も必要ないので、大騒ぎする必要はないとの結論です。政府・マスコミが大騒ぎしているのは、増税のための地ならしだそうです。