会社を設立する時に、通常は金銭を出資します。
以前は株式会社の場合は、資本金1,000万円は必要でしたが、
今の会社法では資本金1円でも設立が可能です。
とは言っても、1円だけでは会社設立のための手続き費用の
20万円程度も調達できませんので、現実的ではありません。
少なくとも現金50~100万円は必要となります。
金銭を出資するかわりに現物を出資するのが「現物出資」です。
金銭と現物を組み合わせて会社を設立することもできます。
現物とは有価証券・製品・貸付金・不動産・機械・車両・備品などですが、
当事務所では実務的には建物、貸付金を出資する事例が多くなっています。
現物出資とはいっても、税務上は譲渡所得とみなされます。
土地を現物出資すると、土地を売買したのと同様のことですから、
多額の譲渡所得税が発生する可能性があります。
ですので土地は、通常、現物出資の対象にはなりません。
個人所有のマンションの場合、家賃収入は個人の事業所得となります。
それが、建物を現物出資することによって、家賃収入は会社の売上となります。
土地は出資していませんので、個人には地代を支払い、
役員に報酬を支払うことになります。
相続の際には、法人にしておくと分割しやすいということもあります。
平成18年から会社法に合同会社という会社形態が設けられました。
合同会社の場合、出資者は「社員(有限責任社員)」と呼び、
原則として社員(出資者)=役員となります。
合同会社の場合、特に現物出資に関しては、さまざまな特典があります。
株式会社の場合、「現物出資の金額が500万円以上」になると
裁判所に選任された検査役の調査や、弁護士・会計士などの価格証明などが
必要となりますが、合同会社では、これらが不要です。
資本金については、株式会社では半分は資本金になります。
例えば、2億円のマンションを出資した場合、1億円は資本金となりますが、
合同会社の場合は資本金1,000万円で、残りは資本剰余金することが可能です。
資本金額で、税務上等の取扱いが異なってきますので、ここは合同会社の利点といえます。