マイホームを売って損失が出たときの特例 第157回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。確定申告シリーズの第2回です。

まずは、マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例です。この特例は、マイホームを売却して、新たにマイホームを購入した場合に、譲渡損失が生じたときは、要件を満たせば、その年の給与所得や事業所得などと損益通算することができるというものです。

さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、翌年以後3年内に繰越控除することができます。

例えば、譲渡損失2,000万円、給与所得800万円の場合、損益通算により所得金額がゼロとなり、源泉徴収税額が全額還付されます。引ききれなかった1,200万円の損失額は、繰り越され、翌期以降の所得と損益通算できます。

ただし、次の場合は、繰越控除は適用できません。

  • 売却したマイホームの敷地の面積が500平方メートルを超える場合
  • 取得したマイホームについて10年以上の住宅ローンがない場合
  • 合計所得金額が3,000万円を超える場合

次に、新たなマイホームを取得しない場合であっても、住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して譲渡損失が生じたときは、要件を満たせば、譲渡損失をその年の給与所得や事業所得などと損益通算することができます。これも3年内に繰越控除することができます。

国税庁のHPの例によれば、6,000万円で取得したマイホームを2,000万円で売却すれば、4,000万円の譲渡損失がでます。売却時の借入金残高は3,000万円とすると売却代金2,000万円との差額1,000万円が損益通算の限度額となります。

このようにマイホームを売却した場合には、いろいろな特例がありますので、適用を洩らさないようにしましょう。

 

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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