インボイス制度の売手側の処理 第265回

消費税

令和3年10月1日から消費税のインボイス制度の登録申請が始まります。適用は2年後の令和5年10月1日からです。

「インボイス」とは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。インボイスの記載事項としては次の6つです。

①適格請求書発行事業者の氏名または名称及び登録番号

②取引年月日

③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)

④税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率

⑤税率ごとに区分した消費税額等

⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

売手は軽減税率対象商品の販売の有無にかかわらず、取引先(課税事業者)から求められた場合は、適格請求書を交付しなければなりません。

適格請求書発行事業者が,不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合には,適格請求書に代えて,適格請求書の記載事項を簡易なものとした「適格簡易請求書(簡易インボイス)」を交付することができます。具体的には小売業、飲食店業、タクシー業、旅行業等になっています。

また、適格請求書の交付義務が免除される取引が定められています。

①3万円未満の公共交通機関による旅客の運送。1回の取引で判定し、月まとめ等の金額では判定しません。

②卸売市場において行う生鮮食料品等の販売。

③生産者が農業協同組合,漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売。

④3万円未満の自動販売機により行われる商品の販売等。

⑤郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス。

これらはインボイスの交付義務が免除されています。

実際に運用されるまでなかなか実感がわかないところですが、事前によく準備しておきましょう。

※動画でも解説しています

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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