第74回「平成28年度税制改正 消費税『インボイス制度』」

IMG_3693 元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

 先週は、消費税改正のうち10%に増税になった場合の、軽減税率制度の概要をみました。今回は、複数税率の下での課税環境を整備するための、「区分記載請求書等保存方式」、「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)を概観してみましょう。

 平成29年4月1日からインボイス制度への経過措置期間として、4年間は、簡素の方法である「区分記載請求書等保存方式」が採用されます。標準税率が10%、軽減税率が8%になります。そのため、売り手と買い手と次のような対応が必要です。

売り手・・・・従来の請求書に加え、①軽減税率の対象品目である旨、②税率ごとに区分して合計した対価の額(税込み)が追加されます。売り手の交付義務は現行通りありません。
買い手・・・・区分掲載請求書の保存が仕入税額控除の要件となります。請求書が保存要件であることは従来通りです。最初の1年間は軽減税率対象仕入のみなし計算が認められていますが、会計事務所として対応が大変になると言われています。

 次に、随分、先の話になりますが、平成33年4月から「インボイス制度」に移行します。売り手と、買い手は次のように記載事項等が追加されます。
売り手・・・・登録番号、税率ごとに区分して合計した対価の額、適用税率、税率ごとの消費税額が追加されます。売り手は交付義務があるとされています。
買い手・・・・適格請求書等の保存が要件となり、なんと!免税事業者からの仕入税額控除が不可となっています。免税事業者は益税となっていますので、本当はこれが導入したかったのではとも思えてきます。一応、免税事業者からの仕入税額控除ができる特例、80%控除または50%控除、も認められるようです。

 国税庁は、軽減税率制度導入に伴うシステム修正費用は修繕費で計上できる取り扱いを公表しています。いずれにしても、莫大なシステム開発投資になるのではないでしょうか。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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