第136回 交際費の損金不算入

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

交際費は、原則、税務上は損金にできませんが、平成26年4月1日以後開始事業年度から、交際費等のうち接待飲食費の額の50%相当額を損金算入できるようになっています。

ただし、中小企業の場合は、損金不算入額には次のようになります。

① 平成25年3月31日以前開始事業年度
600万円までの10%+600万円を超過する金額

② 平成25年4月1日〜平成26年3月31日に開始する事業年度
800万円を超過する金額

③ 平成26年4月1日以後に開始する事業年度
800万円を超過する金額または接待飲食による交際費の50%を超える金額

中小企業(資本金1億円以下)では、上記のように選択できるようになっています。しかし、飲食による交際費の50%が800万円を超えるということは、中小企業の規模では、ほとんど考えられません。800万円を上回るためには1,600万円の飲食をしなければなりません。交際費等のうち接待飲食費の額の50%を損金算入できる改正は、大企業のための税制とといえます。

交際費の損金算入限度額の適用は、租税特別措置法第61条の4では、平成30年3月31日までとなっています。改正時は平成28年3月31日まででしたが、延長になっています。

交際費は、会社によって全く様相が異なります。規模にかかわらず、毎月、多額の交際費を計上している会社もあれば、ほとんど全く使用しない会社もあります。決算書のうち、社長の人生観が最もよく出るものの1つが交際費です。利益が出た分を交際費を使用する会社や、利益以上に交際費を使う会社もたまにあります。そんなことをしていては、いつまで経っても、会社にキャッシュは貯まりません。

例えば、利益100万円で同額の交際費を使えば、税金はゼロかもしれませんが、キャッシュの増加もゼロです。利益100万円で税金24万円(中小企業の襟計800万円までの実効税率24%)払えば、76万円のキャッシュが増えます。キャッシュを増やす経営を目指しましょう。

 

 

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

山崎 隆弘をフォローする
キャッシュを残す経営
シェアする
山崎 隆弘をフォローする
福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
タイトルとURLをコピーしました