第279回 税金は率で考えましょう

キャッシュを残す経営

率の経営ということは、お客様によく言っていることです。利益を考える場合に、金額ではなく率で考えなければなりません。売上営業利益率(営業利益÷売上高)はまずは10%を目指します。上場会社では、株主、投資家に対して説明しなければなりませんので、当たり前に率で考えます。

ところが、中小企業の場合、どうしても利益の先にある税金に目が行ってしまいます。税金の金額に目が行くと、ある程度、営業利益を計上すると、決算近くになってブレーキを踏むことになりかねません。それを繰り返していると、何年経ってもお金が貯まりません。結果、会社の資金繰りが立ちゆかなくなることになりかねません。

現在の実効税率(利益に対する法人税、地方税の率)は34%です。かつてに比べると随分と低くなりました。年配の経営者の方は、税金の金額を見て安くなったね! と驚かれます。昔のかたは半分は税金という意識です。

更に資本金1億円以下の中小法人であれば、800万円以下の利益に対しては24%と低くなります。800万円を超えた部分が34%となります。ですので、決算対策そのものも、あまり必要ないのではと思います。決算対策をしてもその期は少し利益が下がっても、1年経てば先取りした経費がプラスに作用します。

保険で決算対策することも勧めていません。それよりもその期、その期で利益を計上した方が、800万円に収まれば、結果的に税金も少なくてすみます。保険で課税の繰延をして、将来に多額の利益が計上されれば800万円を超えて34%部分が多くなります。

利益が計上されたということは、言葉を変えれば儲かったということです。儲かったということは、一般的には現金がたくさん残ったということです。その残った現金から税金を4分の1払うだけです。数字を見て慌てないために、月次決算で利益を確認しておくことは必要です。できる範囲の対策は必要ですが、お金を支出して、結果的に現金を無くさないようにしましょう。利益の4分の1は税金と考えていれば済む話です。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

山崎 隆弘をフォローする
キャッシュを残す経営
シェアする
山崎 隆弘をフォローする
福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
タイトルとURLをコピーしました