第291回 現金の管理が基本

キャッシュを残す経営

コロナ禍の影響で3年振りに本格的に税務調査が再開されています。最近は、税務署では世代交替により、新人研修を兼ねての調査も多くなっているそうです。そういったなか、税務調査で初めて現金実査を受けました。

かつて、監査法人で会計監査をしているときは、支店往査の場合、必ず現金実査をしていましたが、税務調査で現金を確認することは初めてで、ビックリしました。教育係の国税調査官によると、中小企業では、現金実査をして帳簿と一致することはほとんどないと聞いて二度、ビックリしました。

経理担当者がいる会社では、現金出納帳を記帳して、現金と合わせることは当たり前と思っていました。ところが、中小企業では、現金は社長の財布の中ということも多いそうです。

ドイツでは、税務調査で現金実査をして帳簿と一致しなければ、会計帳簿そのものが否認されるそうです。更に怖いのは、日本では7年の時効がありますが、ドイツの税制には時効はありません。何年でもさかのぼれます。

現金の管理は基本です。お金が残りませんという相談には、まずは現金出納帳を記帳しましょうとアドバイスしています。記帳資料を送付してくるなかで、たまに千円札が混じっていることがあります。現金が入ってましたよと連絡はしますが、そのようなことでは、社内で不正があってもわかりません。また、そういう環境に社員の人を置いておくのもよくありません。

うちの事務所で経理担当者が4年前に退職したときに、誰に記帳してもらおうかなと周りを見渡すと、皆、忙しそうで手が回りません。仕方なく、自分で会計の記帳をすることになりました。不思議なことに、自分で記帳しだすとお金が貯まり出しました。

しかし、社長さん自身が記帳することまでは必要ありません。経理担当者に現金出納帳をつけてもらい、現金現物と少なくとも週に一度は社長が確認しましょう。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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