第294回 書類スキャナ保存の実践法!

キャッシュを残す経営

令和4年1月1日からいきなり始まりました電子取引データの保存ですが、2年間の猶予期間はあるにしても、早めに対応しておくに超したことはありません。税務署の電子帳簿説明会では会場が超満員だったそうです。しかし、書類の保存方法など、肝心なところは文章を読み上げるだけで、あまり参考にはならなかったようです。税務署の人も実際には自分でスキャナ保存している訳ではありませんので、厳しいところです。

事務所では今年初めから書類を全てスキャナ保存しており、お客様のうち数社は全て電子データ化しています。1年間、電子保存に対応してきて、実務上の方法、注意点などををまとめてみたいと思います。第275回のブログでも紹介しましたが、富士通のScanSnapは必須です。コピー機でも対応できますが、自分の机の上で完結できます。まずは、ScanSnapで領収書・請求書などをスキャンしてPDFデータに変換しましょう。初期設定ではPCにScanSnapHomeが立ち上がり、PDF データがパソコン上に保存されます。

そのデータが消えると大変なことですので、PCやサーバには保管しないようにしましょう。できればクラウドサービスと契約してクラウド上に保存しましょう。無料サービスは避けましょう。例えばDropboxを使用する場合、PDFデータをドラッグ&ドロップで移動できます。レシートでしたら、ScanSnapで読んだファイル名が「20220216_店名」になっています。お店側の設定で異なります。ファイル名を「20220216_店名_金額」とします。

Dropboxにフォルダを作っておくことも大事です。決算期ごとのファイルを作り、その下に毎月のファイルを作り、発生した月のファイルに移動します。税務調査の際には、期別のファイルを渡すことになります。最近の調査では、電子帳簿保存の適用前の年度であっても、会計データを要求されることがあります。税務署側ではさすがに会計ソフトは持っていませんが、CSV データに変換して、検索、分析します。

記帳した領収書関係は、クラウドに保存後、そのままゴミ箱行きです。単に領収書を貼るだけでも相当の時間を要していたことに気付きました。綴じるファイルも要りません。ストレスフリーです。溜めると大変ですので、その都度、記帳して、保存することが大事なようです。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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