「その節税が会社を殺す」 第175回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

新刊の「その節税が会社を殺す お金に強い社長がコッソリやってる節税&資金繰りの裏ルール31」(松波竜太著)を読みました。この本は、無駄な節税が会社のキャッシュを苦しくし、倒産に追い込むおそれがあると警告しています。

無駄な節税の具体的な手法は、保険に入る、役員報酬を増やす、経費を使う等です。私がほとんど勧めない方法で、同感です。この本では、それよりも手元資金を増やすために、節税ではなく銀行借入を推奨します。

後半は銀行借入するための手法が詳しく書かれており、こちらの方が参考になりました。会社が倒産するのは手元資金がなくなるからであり、そのためには銀行からの借入を利用してキャッシュを月商3ヶ月分を持つべきだとします。

銀行は「救済機関」ではないとして、銀行借入への次の5つのカン違いを挙げます。

①取引する銀行は1行に絞ることで、イザというとき味方になってくれる→1行に絞ることで、銀行から切られたらゲームオーバー。

②決算書の借入残高が少ない方が融資を受けやすい→銀行は、お金を借りている相手に貸したい。

③中小企業は保証協会を付けないと借りられない→保証協会抜きの融資は十分可能。うちのお客様でも、つい最近プロパー融資に切り替えてもらいました。

④借入を半分にすれば支払い金利は半分になる→借入を半分にすれば金利は上がる。

⑤借入がなくてもある程度、預金残高があれば信用してくれる→銀行は融資している相手だけが客。

そして、無借金経営ではなく、実質無借金(預金>借入金)を目指すべきとします。日本政策金融公庫には預金制度がなく、ここからの借入金を使うことにより、ある銀行に対して実質無借金状態にすることによって、銀行への交渉力が強くなる方法として勧めています。

 

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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