元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。
不動産業において、個人で不動産を所有する場合、会社で不動産を所有する場合等、いろいろなパターンが考えられます。
相続税対策まで考慮した場合は、土地は個人で所有し、建物は法人で所有する形が、一般的に望ましい形です。
個人所有の土地の上に、法人の建物が建っているときは、相続税評価の際には、土地の評価から借地権を控除します。法人の株主が土地所有者と同様であっても法人格で別人格とされ、借地権を控除できます。
ただし、土地の評価から控除された借地権は、建物の所有者が法人の場合、法人の借地権として計上され、その分、株式の評価が高くなります。土地の所有者がその法人の株主でなければ、相続税評価では控除のみとなります。
所得税法上では、建物が賃貸用のマンションであれば、家賃収入が個人に集中しますが、法人所有のマンションであれば、家賃収入は法人の売上となります。役員報酬等により所得の分散が可能となります。
この場合、法人は土地所有者の個人に地代を支払います。地代の相場は、土地評価額×市場金利が目安となります。
土地も建物も個人所有であっても、現物出資の手法で建物を法人所有とすることができます。現物出資の場合は不動産鑑定士の鑑定評価が必要です。
建物を鑑定評価額で出資します。例えば、鑑定評価額が1億円の場合、資本金50百万円、資本準備金50百万円とします。建物の所有者は現物出資により株主となります。中小企業の場合は、税務上、優遇されますので、資本金を1億円超えないようにします。
現物出資は所得税法上は売買とみなされ、譲渡所得税が発生します。建物の場合は、減価償却後の簿価よりも鑑定評価(または固定資産税評価額)が低くなる傾向があります。一方、土地を現物出資すると地価が値上がりしているところでは譲渡所得税が多額に発生するおそれもあります。それもあって建物の現物出資の方が現実的です。
建物の現物出資は消費税法上は課税仕入となります。例えば課税売上が100%であれば、すべて控除されることになります。