第371回 103万円と130万円のカベ

源泉所得税

主婦の方がパートで働くときに、所得税の103万円のカベ、社会保険の130万円のカベを気にする人が多く、ときどき相談を受けることがあります。私個人的には、そんなカベなどを気にせずに、働けるだけ働いた方がいいと思っています。少し失礼な言い方になるかもしれませんが、税金を払ったことがない人ほど、会社でも税金をまともに払ったことがない会社ほど、税金々々と気にする傾向があります。
税金などは後からついてくるものなので、稼げるだけ稼いだ方がいいに決まっています。100万円稼いで100万円税金を取られることはありません。個人でいえば、課税所得195万円まではわずか5%の所得税率です。住民税率は一律10%ですので、15%にはなりますが、それだけです。法人の場合は、課税所得800万円以下であれば法人税・地方税合わせての実効税率は24%ほどです。
次に、社会保険の130万円のカベです。「130万円のカベ」とは、親や配偶者の社会保険(健康保険等)の扶養から外れ、すべての人が自分で社会保険料を支払う必要が生じる年収の境目のことです。
あんまり問い合わせた多いので、月額85,000円から1,000円づつアップしていって、所得税の源泉、健康保険・厚生年金の源泉を差し引いて年間の手取りを計算してみました。
健康保険・厚生年金の社会保険の支払いは40才以上になると少し高くなりますので、40才以上で考えると、年収102万円(月額85,000円)の場合、所得税・社会保険もなく102万円の手取りとなります。年収120万円(月額10万円)の場合は手取り101万円となり、社会保険の扶養に入っていれば119万円の手取りとなります。年収129万円(月額108,000円)の場合は手取りが108万円となり、社会保険の負担がなければ128万円の手取りで20万円の差となります。年収130万円を超えれば、社会保険に加入しますので、手取りの差はなくなります。
パートでどんなに働いても130万円を超えることがないという場合は、所得税の103万円のカベを気にすることなく稼ぎましょう。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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