第78回 権利金の認定課税

法人税

 元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

国税庁のHPでは「法人が借地権の設定により他人に土地を使用させる場合、通常、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないときには、原則として、権利金の認定課税が行われます」とあります。

土地の借地権の取引事例は、ここ福岡ではあまり聞いたことがありません。であれば、権利金を収受する慣行がないともいえます。が、国税庁の「財産評価基準書」に借地権割合が載っていることは、取引慣行があるという税務署の見解です。

確かにそう言われてみれば、相続税に際しての土地の評価では、この借地権割合を差し引いて計算しています。しかし、通常の権利金を収受しない場合に、一律に権利金の認定課税が行われる訳ではありません。

相当の地代を収受している場合には、権利金の認定課税が行われません。ただし、税務上の相当の地代とは、自用地評価の6%です。不動産鑑定士に尋ねると、地代というのは市場金利だそうです。例えば、2%で土地を取得して2%の地代で貸すということです。

ところが、現在はマイナス金利の時代です。法を制定した当時は6%が市場金利だったかも知れませんが、実態とかけ離れています。この状況では、税法でいう相当な地代というのはあり得ないということになってしまいます。

となると、権利金の認定課税が避けるためには、税務署に「無償返還届出書」を提出する必要があります。ただし、この「無償返還届出書」を提出すると、相続時の土地評価は自用地評価×80%となります。借地権割合が50%とすれば、30%評価が高くなってしまいます。結果、相続税が高くなります。

ややこしい話ですが、権利金の認定課税として入口で課税されるか、相続時の出口で課税されるかの違いだそうです。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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