第111回 平成28年からの金融商品税制改正

元気ですか! 福岡市の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成2811日から金融・証券税制が改正になっています。今年の確定申告から適用となります。まさに現在、確定申告作業中ですので、気をつけましょう。

まず「株式等」「上場株式等」の定義が大きく変わり、それに伴って課税方式が変わっています。「株式等」は「上場株式等」と「一般株式等」に分類されます。「一般株式等」は上場株式等に該当しないものとされ、非上場株式はこちらに入ります。

「上場株式等」には、上場株式、株式投資信託、REIT(不動産投資信託)、ETF(上場投資信託)に、平成28年から債券、公社債投資信託を加わり、これらも含めて特定口座の対象となっています。

平成27年までは、上場株式、株式投資信託、REITETFの譲渡損益、配当金は損益通算、繰越控除ができていました。平成28年からは、これに債券、公社債投資信託も含め、譲渡損益、配当金、収益分配金が損益通算できるようになっています。

ただし、一般株式等は、譲渡損益同士の損益通算はできますが、譲渡損益と利子・配当・収益分配金等間での損益通算はできません。さらに上場株式等と一般株式等の間での損益通算はできず、上場株式等の損失は繰越控除できますが一般株式等の損失は繰越控除できません。

平成28年からは、債券と公社債投資信託の税金が申告分離課税となり、非課税だった売却益も課税されるようになっています。私募債の利息について、従来は分離課税だったものが総合課税となっています。

上場株式等の配当金は分離課税と総合課税の選択ができます。特定口座で源泉徴収ありにしていれば、申告不要となっていますが、総合課税にすると配当控除が使用できるので、意外と総合課税の方がお得の場合があります。申告の際には、分離課税、総合課税の両方で計算してみる必要があります。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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