第53回「生命保険の支払は節税にはなりません」

貯金箱

元気ですか! 福岡の公認会計士、
税理士の山崎隆弘です。

うちの事務所では節税として
保険は勧めていません。

一般的には、大きな利益になりそうな時は、保険の支払をして経費計上することは、よく耳にします。

しかし、保険料を支払って費用計上しても、基本的に節税にはなりません。

 

例えば、中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)では、毎月、最大20万円掛けることができます。

年間で240万円の経費となります。

800万円になるまで積み立てすることができますので、月20万円の場合、3年と少しで達します。

経営セーフティ共済の場合、取引先事業者が倒産し、回収困難な売掛金債権等が発生したときに、
積み立てた掛金総額の10倍または被害額のどちらか少ない額の範囲内で、
最高8,000万円の貸付けを受けることができます。

このような本来の目的で掛けることは、得意先が倒産した時などは、確かに有用です。

しかし、節税目的で240万円の経費を作るためだけに掛けていても、
解約した際には掛金の納付月数に応じて、
掛金総額の75%~100%を解約手当金として戻ってきます。
これは雑収入として利益となります。

そうなると、先に経費で計上したものが、後で益金として戻ってくるだけのことで、
税金的には、一時的には少なくなりますが、結果的には同じです。

単なる課税の繰延です。

また、保険会社そのもののリスクもあります。

朝倉慶さんは、国債を大量に保有している保険会社の危険性について警鐘しています。

同じく中小企業基盤整備機構の取扱いで小規模企業共済の「払込証明書」は、
確定申告シーズンではよく見かけます。

これも積極的にはお勧めしていません。

そこのHPに載っていますが、平成20年末で△9,982億円の繰越欠損金があります。

その解消ための第2期中期計画中ですが、
「さらに大きくなることも予測される」と記載されています。

預金しておいた方がマシだったということにならないようにしましょう。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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