第388回 定額減税と税の3原則

確定申告

確定申告の作業も佳境に入ってきました。令和6年分の申告を前期比較で見ていると、意外と定額減税が効いています。確定申告時に少し納税があった方でも還付になるケース、または還付金が増えている場合が多いです。1人3万円、扶養が1人増えると合わせて6万円、扶養2人になると合計9万円ですので、大きいです。

定額減税の対象者は、所得金額が1,805万円以下である人です。給与所得のみの場合、給与収入が2,000万円以下の人となります。なので、これを超える方に影響はありませんが、ごく一部の方に限られますので、ほとんどの方が恩恵を受けています。住民税は1人当たり1万円で、所得税と合わせて1人4万円の減税です。

岸田政権が石破政権に交替しましたので、定額減税は令和6年のみとなりました。わずか1年のことでしたが、手続きの複雑さに、令和6年6月の源泉徴収時から問合せが多く、大変でした。所得税から3万円を引けない方は、市町村から還付を受けることになりますが、その手続きも市町村によりまちまちで、役所に電話しても今ひとつハッキリしないことが多々ありました。

唐突ですが、YouTubeを見ていると、税の3原則を紹介していました。改めて調べてみると、日本の税制の基本原則として、「公平」「中立」そして3番目が「簡素」です。僅か3万円の所得税の減税ですが、源泉時・年調時、とても判り難い制度で簡素とは言えませんでした。しかし、確定申告書を作成する段になると、1人当たり3万円を控除するだけで意外とアッサリです。

税の3原則のうち、「公平」は負担能力の大きい人にはより大きな負担をしてもらうということで、所得税は累進課税となっており、相続税・贈与税は財産が増えるに従って税率が高くなります。

また、「中立」は、税制ができるだけ個人や企業の経済活動における選択を歪めることがないように、効率性ともいわれます。1949年のシャウプ勧告では、現行の贈与税と相続税との組合わせは、そうではないとしています。その解消という名目で贈与税の7年持ち戻しなど暦年贈与の見直しがここ最近行われています。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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