第91回 山林を売却したときの所得税

img_0558-1 元気ですか! 公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

山または山間の土地を売却した場合の所得税です。

その場合、土地の評価そのものは少額であっても、その上の山林に価値があり山林の売却額が多額になることがあります。かつては古い樹木に価値がありましたが、最近の建材は若い樹木を加工して作るので、若い樹木に需要があるそうです。

所得の種類には、給与所得、退職所得、事業所得、不動産所得、譲渡所得、一時所得、雑所得等がありますが、最もなじみのないものが山林所得です。

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になります。

また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になります。ですから、山ごと売却した場合、土地の売却は譲渡所得、山林の売却は山林所得となります。

山林所得の金額は、総収入金額ー必要経費ー特別控除額(最高50万円)の金額となります。必要経費には、概算経費控除といわれる特例があります。15年前から引き続き所有していた山林を伐採又は譲渡した場合は、収入金額から譲渡費用を差し引いた金額の50%に相当する金額を必要経費とすることができます。そのため、売却額の約半分の所得となります。

山林所得は、他の所得と合計せず、他の所得と異なった次の計算方法により税額を計算し確定申告します。

(課税山林所得金額×5分の1×税率)× 5

これは55乗方式といわれるものです。実際には1年間で取得した所得であっても、これを5年にわたって均等に取得したと仮定し、その所得金額に適用される税率を適用するため、税率が低くなります。一時的な所得に対する累進税率適用の緩和を図る目的だそうです。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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