第298回 給与源泉の甲・乙・丙

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コロナ禍以来、3年振りに税務調査が本格的に再開されました。うちの事務所でも、ほぼ毎月、税務調査の立会に追われています。団塊の世代と入れ替わり、税務職員は若返っています。定年近い人と新人の組み合わせが多くみられます。

細かい指摘も多くなってきています。バイトが多い業種では、給与明細を一生懸命見られます。そんなところを見ても何も出てこないのでは?と思ってしまいます。ところが社員、バイト全員の給与明細、年末調整表を持って帰りました。最近の調査で必ず言われることは、永年勤続や表彰の金一封、旅行券などは、必ず源泉所得税を徴収してくださいということです。バイトの人には関係のないことなので疑問でした。

バイトの人は短期で、掛け持ちが多いので、基本的に年末調整をしていません。年末調整の前提として、社員・バイトの人に「給与所得者の扶養控除等申告書」を書いてもらいます。結論的には、この「給与所得者の扶養控除等申告書」があれば、「甲欄」での源泉徴収額となりますが、これがなければ「乙欄」での源泉徴収額になるという指摘です。

ここで「甲欄」とは主たる給与の場合の源泉徴収税額、「乙欄」とは従たる給与の場合の源泉徴収税額です。従の「乙欄」は主の「甲欄」よりも源泉徴収額が多めとなっています。「給与所得者の扶養控除等申告書」がない人は「乙欄」とみなされ、「甲欄」との差額を納税することになりました。人数が多ければそこそこの金額になります。

日頃は使用しませんが、「丙欄」というのもあります。これは日雇賃金の場合の源泉徴収額で「乙欄」よりも更に多額になります。例えば、病院で、外注のドクターに対し毎回、日額分を手渡していたら、「丙欄」とみなされかねませんので、気をつけましょう。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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