元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。
元国税調査官の大村大次郎氏の「パナマ文書の正体」を読みました。タックスヘイブンの問題点をわかりやすく解説しています。
タックスヘイブンに住居地を置けば、個人の税金はほとんどかかりません。多国籍企業が本拠地をここに置いておけば、法人税が節税もできます。アップル社の逃税スキームを代表例として詳しく説明しています。その結果、アップル社はグループ全体の税負担率を9.8%まで下げています。具体的には2,400億円の税金を免れたとしています。
しかし、合法だからこそ問題であるとして、「事実上、不自然に税を逃れているのに、非合法ではない」ということが、タックスヘイブンで成り立っています。
富裕層の資産がタックスヘイブンに持って行かれるために、大企業、富裕層の税金を下げざるを得なくなり、その結果、「タックスヘイブンを利用できない」中間層以下に対して増税を行うようになりました。
日本の消費税はその典型です。消費税が増税されて以来、大企業の税金はこの20年間で約3割、高額所得者の税金は約4割下がったと指摘しています。その穴埋めととして消費税が導入されており、更に10%への増税が予定されています。東日本大震災を契機とした復興特別税なども、法人税で廃止されましたが、所得税は平成49年まで続きます。
パナマ文書はタックスヘイブン全体から言えば、氷山の一角であり、日本人や日本企業は「ケイマン諸島」を使うことが多く、国際決済銀行は2015年の時点でケイマン諸島に日本のカネが約63兆円投じられていると発表しています。
世界最古の財閥は三井家で、それ以前の世界中の財閥たちは、時代の中で民衆の恨みを買い、雲散霧消しています。富裕層は自分たちの子孫を守るためにも、相応の税金をきちんと払うべきであると結んでいます。