『死霊魂』 第247回 

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ワン・ビン監督の『死霊魂』(中国 2018年)です。上映時間8時間半! 11月3日の文化の日に、事務所近くのKBCシネマで、朝11時10分から20時までの上映を観ました。途中、2回の休憩をはさみます。ただし1回の休憩時間が10分程度です。昼は事務所に戻って芋をかじり、夜は近所の「玄」で蕎麦をかきこみました。

中国共産党の「反右派闘争」で弾圧された人々のインタビューで構成されています。120の証言と約600時間のラッシュ映像を8時間にまとめています。撮影は2005年と2016年、2017年に追加され、足かけ12年になります。

1950年代後半から1960年代前半の中国政府が「右派」と認定した人たちが収容所に入れられます。しかし、インタビューを聞く限り、ほとんどはめられて、認定されたような人ばかりです。「右派」とみなすパーセンテージが与えられ、それを満たすように、次から次と収容所に入れられたことが、インタビューにより明らかになります。

教授や先生なども多く収容の対象となっています。強制労働させられますが、中国全土が大飢饉にも見舞われ、餓死した人がほとんどのようです。1日当たり250グラムの食料しか与えられず、バタバタと餓死していった様子が証言されます。今は飽食の時代で、日本で餓死ということはほぼ考えられません。しかし、人間は食物を与えられないと死ぬという当たり前のことが改めて知らされます。

3,000人のうち生き残ったのは10名程度です。生き残った人は料理担当が多い事実に納得してしまいます。料理に囲まれているので、スキを盗んでは食べていたようです。また、インタビューを受けている人たちが皆明るいことに驚きました。ニコニコ笑いながら話をしています。ノンキに考えて明るいというのも生存には大事ということでしょう。

意外と家族が会いに来ることもできたようで、奥さんのインタビューもあります。収容所側の人も、ここだけは監督の顔出しでインタビューしていました。命の危険に侵されながら、強制収容されることに比べれば、長時間の上映など比較になりませんが、一気に見るのも大変でした。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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