
元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。
やっと東芝の2017年3月期の決算が確定しました。有価証券報告書の提出期限6月末から遅れること40日、8月10日付けで提出しています。会計監査を担当するPwCあらた監査法人は、財務諸表監査について限定付適正意見を表明しています。通常は無限定の適正意見ですから、かなり珍しいことです。
限定付適正意見の根拠として、「会社は、特定の工事契約に関連する損失652,267百万円を、当連結会計年度の連結損益計算書において非継続事業からの非支配持分控除前当期純損失(税効果後)に計上した」と記載しています。金額が大きすぎてピンときませんが、米原発ウエスチングハウス(WH)関連の6,522億円の損失は前期に計上すべきであったというものです。
前期の監査は新日本監査法人が担当しており、当期のPwCあらた監査法人との綱引きで時間を要したようです。ここで不適正意見となると、上場廃止の可能性もあるため、不適正意見をだすのも、かなり勇気がいります。因みに、監査報酬は前期が53億円、当期が28億円です。あらたは25億円ディスカウントして監査を請けていますが、次回は交替と言われています。
内部統制監査については、不適正意見となっています。その根拠として、「当該損失の当連結会計年度における会計処理は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠していない」ためとしています。
決算書をみると当期利益が△9,656億円、株主資本△5,529億円という巨額なものです。2期連続債務超過となると、上場廃止になります。わずか2年前には1兆839億円あった株主資本が、2年間で一兆6,368億円吹っ飛んだことになります。今後は、収益部門の半導体メモリーが2018年3月までに売却でき、債務超過が解消できるかが焦点となります。収益力も勘案しての交渉になるでしょう。
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