製造業の原価管理の事例 第201回 

製造業

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

製造業の場合、原材料、仕掛品、製品の3種類の在庫があります。収益を上げるためにはこの在庫管理が必須となります。

原材料を仕入れて、製造工程に投入します。製造工程に投入されなかったものは原材料の在庫となります。

製造工程に投入されたものが仕掛品となります。期首の仕掛品と期中に投入された材料と労務費、製造経費から、製品が完成します。期末に残った仕掛品が在庫となります。

完成した製品は、期首の製品を含め、販売されます。販売されたものは売上原価として計上されます。

このように、製造業では原材料と仕掛品と製品の3種類の在庫が発生します。在庫は移動平均法などの評価方法により評価されます。

その前提として、仕掛品と製品は原価計算をすることにより原価を把握します。仕掛品・製品の原価を構成するのは、投入された原材料だけではなく、労務費、製造経費も原価となります。

製品一つを製造するのにどれだけ原材料、労務費、製造経費が使用されたかを計算するのが原価計算です。

仕掛品・製品の単価が算出されれば、それに数量を掛けて在庫金額を計算します。製品といっても1種類だけではありませんので、各製品の原価を算出します。それにより、製品ごとの粗利益が見えてきます。

在庫金額を売上原価から差し引き、売上総利益を計算するため、在庫金額の多寡により利益が異なってくるので、慎重に正確に原価計算、棚卸をします。

販売の見込みもなく大量に生産した場合、一個当たりの製造単価が下がり、一見、利益が出たように見えることがあります。しかし、多くの不良在庫を抱えるリスクが生じます。そういう意味では、利益がでてきるからOK ということにもなりません。

原価計算と定期的な実地棚卸により、正確な利益を把握する必要があります。その上で、経営上の対策をとることになります。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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