元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。
圧縮記帳とは、国庫補助金などの交付を受けて資産を取得した場合に、取得原価から補助金に相当する金額を控除(圧縮)した額を貸借対照表価額とする方法です。
この方法によれば、補助金等の額を「補助金受贈益」等で特別利益に計上し、圧縮した額を「建物圧縮損」等で特別損失に計上するため、補助金額は相殺されることになります。
圧縮記帳しない場合、補助金受贈益のみが計上され、補助金に課税されることになり、補助効果が減殺されてしまいます。圧縮記帳することにより、毎期の減価償却費が、圧縮記帳を行わない場合に比べて過小計上され、その分、利益が過大に計上され、課税の繰延となります。
例えば、2,160万円(うち消費税160万円)の機械を購入して、補助金を400万円受け取った場合、損益計算書上は、特別利益に補助金受贈益400万円、特別損失に機械圧縮損400万円が表示されます。機械は補助金を減額した取得価額で減価償却していきますので、過小に計上され、課税の繰延となります。
ここで消費税に留意しなければなりません。圧縮記帳する際に機械400万円を不課税取引で処理すると、160万円の仕入税額控除が計上されたままとなります。本来的には補助金は不課税取引ですので、会計処理的には間違いではありません。
国からすれば助金を交付したうえに消費税も還付することになり、その分、重複してしまいます。これを調整すべく、控除対象仕入税額のうち補助金に係る部分(この例では32万円)については、「消費税額及び地方消費税額の額の確定に伴う報告書」を提出し、返還することになります。
補助金に係る部分について控除対象仕入税額に算入していない場合は、返還処理はなくなり、「消費税及び地方消費税の処理方法について」として、控除対象仕入税額に算入していない旨を報告するのみとなります。