多店舗展開の事業 第220回

その他

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

フランチャイジーまではいかなくても、代理店形式により、社員による独立を促す会社が増えてきました。代理店の場合、すでにお店または拠点があり、お客様がついています。

代理店になる側にとっては、一から場所を選んで、社員を採用してスタートするよりも随分と手間が省けます。もう既に売上が上がっているので、リスク面でも低くなります。また、自分のお店ということになり、モチベーション的にもアップし、売上増加につながります。

会社側からすれば、現地での採用等は代理店の方ですることになれば、管理面で少し手が離れることになります。全く手を離れることにはなりません。

得意先との関係では、代理店になっても、本社から請求書を送付する流れであれば、売上高はそのままです。業務委託費等の科目で、代理店に業務委託料を支払います。代理店に計上される利益分が減ることになります。

代理店に限らず、直轄の支店・営業所であっても同様に、各場所別等の損益管理をする必要があります。税務申告用の全社一本の損益計算書では、どこで利益を上げて、どこで損失を出しているのかわかりません。

その場合、支店・営業所・代理店に直接係る経費は、該当の支店等に計上します。本社または本部など共通経費は、各支店・営業所に按分することになります。詳しくは拙著『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』をご参照ください。

代理店については、独立採算でやっていれば、本社の共通経費を按分するには無理があります。ただし、共通経費を一部、代理店に請求することは考えられます。

利益に直結するところでは、代理店手数料または業務委託費の率・割合をどのように決定するかです。シミュレーションをしてお互いが納得するところで折り合う形になると思いますが、実態をみながら、見直すことも必要となってきます。

また、消費税改正により、令和5年10月1日からインボイス方式となり、消費税の益税がほぼなくなります(簡易課税を選択している場合に、益税になることはあります)。代理店が免税事業者であった場合、業務委託費は課税仕入とはならず、消費税負担が重くなってきます。代理店が、消費税の課税事業者になるか、免税事業者のままでいいのかを含めて、検討しましょう。

 

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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