居住用賃貸建物は仕入税額控除が制限されます(消費税改正) 第262回

消費税

令和2年10月1日以後の居住用賃貸建物の取得について、消費税の仕入税額控除が制限されています。まず「居住用賃貸建物」とは、住宅の貸付の用に供しないことが明らかな建物以外の建物で、高額特定資産または調整対象自己建設高額資産に該当するものをいいます。「居住用賃貸建物」には、その附属設備も含まれます。

「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは、建物の構造及び設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいいます。例えば次のようなものです。

①建物の全てが店舗等の事業用施設である建物

②旅館業に係る施設の貸付に供する建物

③棚卸資産として取得した建物

ただし、居住用賃貸建物を商業用部分と居住用賃貸部分とに合理的に区分しているときは、居住用賃貸部分についてのみ仕入税額控除が制限されます。「合理的に区分している」とは、使用面積割合や使用面積に対する建設原価の割合などにより区分されていることをいいます。

居住用賃貸建物に係る資本的支出、すなわち資産の修理、改良等のために支出した金額のうち資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなる支出で1,000万円以上については、仕入税額控除が制限されます。

1,000万円未満の建物に係る資本的支出の場合は、仕入税額控除の制限は適用されません。高額特定資産を自己建設する場合には、課税仕入高(税抜)の累計額が1,000万円以上とならない課税期間までは、課税仕入については仕入税額控除の制限はありません。例えば1年目が600万円の材料費等であれば、税額控除ができ、2年目以降に累計で1,000万円を超えた年度から仕入税額控除ができなくなります。

条文からの引用が多く、わかりにくくなってしまいましたが、間違えないように慎重に処理しましょう。

※動画でも解説しています。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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