建設仮勘定の消費税 第178回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

消費税基本通達11-3-6では、「事業者が、建設工事等に係る目的物の完成前に行った当該建設工事等のための課税仕入れ等の金額について建設仮勘定として経理した場合においても、当該課税仕入れ等については、その課税仕入れ等をした日の属する課税期間において法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されるのである」と定められています。

消費税法第30条では、消費税を控除するのは、課税仕入を行った日とされ、例えば、建物建築で、設計業務が終了していれば、建物は完成していなくても、例えば設計業務について請求書を受領していれば、仕入税額は控除されます。

続けて、同通達では「当該建設仮勘定として経理した課税仕入れ等につき、当該目的物の完成した日の属する課税期間における課税仕入れ等としているときは、これを認める」と定められています。

完成した時に課税仕入していても認めるとありますので、一読すると完成時に仕入税額控除することが例外のように、読めてしまいますが、あくまでも、仕入を行った日が税額控除の時期です。完成時に課税仕入していても認めるというのは、都度、税額控除していると煩雑になるので、まとめて完成時に税額控除していても認めるという意味です。

工事請負契約では、建物の課税仕入の時期は、物件が完成し、引渡しを受けた時です。完成前に支払った手付金や中間払いの金額は、仕入税額控除の対象となりません。同様に、未成工事支出金は、役務の提供を受けた分について、支払った未成工事支出金については仕入税額控除として処理します。

ミスしないためには、「建物」勘定を課税に、「建設仮勘定」を「不課税」に設定しておいて、本勘定振替時に業者ごとに検討することになります。

 

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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