社宅建物の取得の消費税と賃料相当額 第223回

消費税

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

社宅や社員寮は経費削減の観点から減少傾向にありましたが、近年、導入する会社が増えているそうです。その際の、消費税の処理について、大企業においても処理ミスし、過少申告加算税の対象となっている案件があるとのことですので、気をつけなければなりません。

社宅建物の取得は消費税の課税対象です。ここで、課税売上高5億円以上、または課税売上割合が95%未満の会社は、個別対応方式または一括比例方式を採用することになります。

個別対応方式を採用し、有償で従業員・役員に貸し付ける場合、住居用のため受取賃料は非課税売上となります。そうなると、建物の取得は、非課税売上対応の課税仕入に該当しますので、全額が仕入税額控除の対象となりません。

一方、従業員・役員に対して無償で貸し付ける場合は、消費税は不課税となり、建物の取得は共通対応の課税仕入となります。結果、課税売上割合に応じた消費税が控除(還付)の対象となります。

それで、そのまま従業員・役員から賃料を徴収している場合と、無償の場合とでは消費税の処理が異なります。修繕費についても同様の取扱いとなります。

また、従業員・役員に社宅を貸与する場合、賃貸料相当額を受け取っていれば、給与として課税されませんが、無償で貸与する場合は賃貸料相当額が給与として課税されます。従業員に対する賃貸料相当額または役員に対する賃貸料相当額(小規模住宅の場合)の計算方法は①~③の合計額となります。

①(建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%

②12円×(その建物の総床面積(㎡/3.3)

③(土地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

従業員から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されないこととなっています。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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