第316回 インボイス制度における帳簿のみ保存の特例、出張旅費特例

消費税

インボイス制度には、さまざまな経過措置、特例が設けてあり、整理しないと混乱します。そのうち、少額特例はブログ301回、2割特例は302回をご参照ください。今回は、帳簿のみ保存の特例についてです。

帳簿のみ保存で仕入税額控除が認められているものがあります。「帳簿のみ保存」ということは、会計帳簿に記帳していれば、インボイス対応の領収書・請求書は必要ないということです。

まずは3万円未満の公共交通機関による旅客の運送です。ただし「3万円未満の鉄道料金」等、帳簿に記載が必要とされています。「大蔵大臣」はそれを選択できるようになっていますが、「弥生会計」にはその選択キーはありませんので、摘要に入力することになります。航空機、タクシーは金額にかかわらず、インボイスが必要となります。

また、3万円未満の自販機からの購入、ATM手数料、コインロッカーなども、帳簿のみ保存でOKとなっています。この場合についても「〇〇市 自販機」「〇〇銀行〇〇支店ATM」と帳簿に記載する必要があります。

出張旅費特例では、役員・従業員に支給する出張旅費、宿泊費、日当は帳簿のみ保存で仕入税額控除が認められます。ということは、出張の精算書でOKということです。精算書に添付されている領収書は保存しておいた方が良いでしょう。所得税が非課税となる通勤手当等も帳簿のみで仕入税額控除ができます。

しかし、法人カード決済の場合は出張旅費特例の対象から外れ、宿泊費や3万円以上の公共交通機関の利用料はインボイスが必要となります。

クレジットカードの利用明細だけでは仕入税額控除はできません。インボイス対応の領収書等が必要となります。ただしETC利用料は、高速道路会社につき1回のみ「利用明細書」を保存していれば仕入税額控除が認められることになります。毎回、「利用明細書」を保存する必要はありません。

だんだんと混乱してきました。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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