「事業承継税制が改正されましたが…」 第16回

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元気ですか! 福岡の公認会計士、税理士の山崎隆弘です。

先週に引き続き、平成25年度税制改正大綱から、今回は非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度を見てみたいと思います。

企業の経営者が後継者に経営権を譲るときに相続税・贈与税が猶予されます。

そもそも平成21年に始まったこの制度はこれまでの利用件数が約500件どまりだそうです。

年平均140件程度に過ぎないため、親族でない人への相続や贈与も対象に含めるほか、

従業員数の維持条件を緩めるなど、改正で制度は使いやすくなったとしています。

この納税猶予制度をよくよく調べてみると、本当に優遇税制なのか、疑問になってきます。

単に納税を「猶予」するということで、免税になる訳ではありません。
税金が安くなるということもなさそうです。

反対に、猶予してもらっている間、利子税は取られます。
現行年率2.1%が年率0.9%に引き下がりはしますが。

納税が猶予されている相続税・贈与税額及び利子税の額に見合う担保を税務署に
提供しなければならないとあって、こうなると税務署からの借入金です。

話は変わりますが、連結納税においても申請により決算日後4ヶ月後までの申告に
することはできますが、きっちりと延滞税は取られます。

なんだかこれと同じような感じですね。

相続税の猶予が免除に変わるのは、後継者(受贈者)が死亡したときに限るとされており、
当たり前といえば当たり前です。

日経新聞にも「一定の段階で納税の免除を認める制度まで踏み込まないと
経営者のニーズを満たさない可能性がある」とありましたが、その通りだと思います。

ちょっと使いづらい制度で、お客様に勧めにくいだな~というのが感想です。

 

※投稿時の法制度を基に記載しております。詳しい内容については当方にご相談ください。

→福岡市中央区天神の公認会計士・税理士山崎隆弘のホームページはこちら

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