事業承継税制の特例③ 第166回

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元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

「特例」事業承継税制の3つ目の改正は対象者の拡充です。「原則」では一人の先代経営者から一人の後継者へ贈与・相続される場合のみが対象となります。

「特例」では親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への継承も対象となります。中小企業経営の実状に合わせた、多様な事業承継を支援すると「税制大綱」に記載されています。

すなわち、特例承継計画に記載された特例後継者が2名又は3名以上の場合には、当該議決権数において、それぞれ上位2名又は3名の者までが対象となります。この場合、各々が総議決権数の10%以上を有すること等が要件として追加されています。

贈与する側または被相続人は、「原則」では一人に限定していましたが、「特例」では複数人を許容し人数に制限はありません。事業承継税制の市販の解説DVDでは、なぜこのような「特例」を設けたのか、理解できないと言っていました。

実務上、一人の経営者から、一人の後継者が一般的であり、アドバイスもそのようにしているとのことです。

中小企業の場合、複数の親族が株を所有していることがあります。創業者の親から子どもの世代には兄弟各々に株を渡している場合があります。3世代になるとその数が増えたままの会社もあります。そのための対応ではないかと思います。

それでも贈与ではなくて、売買だろうとDVDの講師は言っていました。創業当初は安い株価であっても、その後の業績により株価が高くなり、実際に本人が拠出したのは少しだけという場合を想定しているのかなとも思います。それでもいまこれだけの時価だからと、通常は売買を要求するのではないかとのことです。

また、特例後継者を3人までに拡げているのは、例えば3人兄弟のうち、どの子が経営者として適しているかまだ判然としないことを想定しているのかとも考えられます。

※投稿時の法制度を基に記載しております。詳しい内容については当方にご相談ください。

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