所得税法等の一部を改正する法律及び地方税法等の一部を改正する法律が令和3年3月26日に通常国会で成立し、改正政省令と併せて同31日に公布されました。今回の改正では、大企業向けの投資促進税制等が多く、中小企業にとっては、所得拡大促進税制の2年延長などあまり大きな改正はありません。
ただし、個人に対する税金は徐々に重くなってきており、最近変わらずの傾向です。

 まず教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直しです。教育資金は、子・孫ごとに1,500万円を非課税する措置を令和3年3月31日から令和5年3月31日まで2年延長しています。受贈者の要件は子・孫で0才~30才で所得金額1,000万円以下は従来通りです。贈与者が死亡した時、死亡前3年以内の贈与については、残高を相続財産に加算されていましたが、改正により死亡前3年超の贈与も加算対象となります。ただし、受贈者が①23才未満、②在学中、③教育訓練を受講している場合は、加算の対象外です。更に孫等に対する相続税の2割加算は適用されないこととなっていましたが、2割加算が適用されることとなっています。

 また、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直しも行われています。同様に令和5年3月31日まで2年延長となっています。受贈者の要件として現在の20才以上から、18才以上に引き上げられます。これは令和4年4月1日以後の適用です。贈与者が死亡した場合、残高が相続財産に加算されます。従来は孫等に対する相続税の2割加算は適用されていませんでしたが、こちらも2割加算が適用されます。

 教育資金、結婚資金、子育て資金にしても、今現在必要なものに対して子・孫のために支出する分は、両親・祖父母は民法に定める扶養義務がありますので、贈与とはなりません。