今年度の年末調整の改正点 第269回

税制改正

税理士向けの研修DVDで「今年の年末調整の改正点」が販売され、何か改正があったかな?と思い、洩れがあってはいけないので見てみました。

昨年度は基礎控除などもろもろの改正があり、結構、大変でした。今年度の改正では、改正前は、源泉徴収に関する申告書の電子提出をする場合には、事前に税務署長の承認を受けなければならないとなっていました。改正後は税務署長の承認手続を廃止するとなっています。うちの事務所が請け負っている場合は、当たり前のように電子申告していましたので、ほぼ何も変わりません。

次に、押印義務の見直しがあります。改正前では税務関係書類には、一定の者が押印しなけらばなりませんでしたが、改正後は一定の書類を除き、押印を要しないとなっています。

これは新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためにテレワークの推進のためとなっています。そもそも電子申告の場合には印鑑が不要となっています。このような業務効率化になる改正は歓迎です。以前は、申告書に修正がある度に、お客さんのところに改めて印鑑を頂きに行っていましたので、結構、大変でした。

ここで「一定の書類を除き」が気になります。令和3年4月1日以降は、次にものを除いて押印を要しないとなっています。

①担保提供関係書類および物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類

②財産分割協議書に関する書類

これだけですので、年末調整申告書について、従業員等の押印は不要となっています。

また、不動産契約書においても電子契約が導入されるようです。法改正が実施され、2022年5月頃から契約業務のデジタル化が本格的になってくる予想されています。そうなると、電子文章に電子署名等を用いて、契約締結できることになります。コスト削減、業務効率化のメリットがいわれていますが、手形と同様に印紙税がなくなるのではないかと考えられます。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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