平成30年度税制改正大綱 第151回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成29年12月14日に、自民党・公明党から「平成30年度税制改正大綱」が出され、12月22日に閣議決定されました。来年1月に招集される通常国会に税制改正法案が提出されます。

大綱の基本的考え方には「税制面において、働き方の多様化を踏まえ、特定の働き方だけでなく、様々な形で働く人をあまねく応援し、働き方改革を後押しする観点から、個人所得課税について、これまで検討を重ねてきた見直しの方向性に沿って、給与所得控除・公的年金等控除の制度の見直しを図りつつ、一部を基礎控除に振り替えるなどの対応を行う」とあります。

ここ最近の税制改正は、法人は優遇で、個人の課税は厳しい傾向にありましたが、更に個人に重い改正案となっています。

平成に入って法人税率は37.5%で10年間推移し、現在は23.4%です。地方税も含めた実効税率は34.3%となり、以前の法人税率よりも低い税率です。中小企業で800万円までの利益の場合、実効税率は23.5%です。実際に申告書を作ると、以前に比べて随分安くなったと実感します。

これに対して、個人の所得税率は最大で(課税所得4000万円超)45%、地方税を合わせれば55%となります。

今回の税制改正大綱では、更に所得税改革が焦点となり、給与所得控除が一律に10万円減らされます。給与所得控除の上限は220万円から195万円と下げられます。

高齢者についても、年金収入が1000万円超または年金以外の所得が1000万円を超えると増税になります。

事業承継税制については、廃業する中小企業が多く、承継税制が浸透していないという実情に鑑み、10年間の特例措置として、各種要件が緩和され、納税猶予割合を80%から100%に引き上げる抜本的な拡充が行われます。

個人から法人に所得を移すだけで、あるいは事業承継税制を使用するだけで、節税スキームがほぼ不要になるような改正傾向となっています。

 

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