所得拡大促進税制の改正 第200回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(または所得税)から税額控除できる制度です。

平成30年4月1日以降に開始される事業年度(個人事業主については平成31年分)から は制度が大きく変更されます。今のところ、2021年3月31日までに開始される事業年度が対象となります。「通常」と「上乗せ」の2段階になっています。

「通常」の場合は、適用の要件を満たす場合、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額(給与の増加)の15%を税額控除します。ただし、調整前法人税額の20%が上限となります。

適用の要件は、継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額(前年度継続雇用者給与金額)と比べて1.5%以上増加していることです。継続雇用者とは、前事業年度の期首から適用年度の期末までの期間の全ての月分の給与 等の支給を受けており、一般被保険者であった者が継続雇用者となります。

従来の所得拡大促進税制との違いは、基準年度(H24年度)の給与総額と比べて、適用年度において一定割合増加していることが廃止されました。また、平均給与等支給額が前年度以上であった要件が「継続雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上増加」に変更されています。

「上乗せ」は、前年度継続雇用者給与よりも2.5%増加している場合、税額控除が25%となります。「通常」と同様に、調整前法人税額の20%が上限となります。

ただし、「上乗せ」には次の二つの要件が加わります。

  • 適用年度における教育訓練費の額が前事業年度における教育訓練費の額と比 べて10%以上増加していること
  • 中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けていること。

この要件はちょっと厳しいですね。

 

 

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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