第102回 平成29年度税制改正大綱

img_01772元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

自由民主党、公明党は平成28128日、平成29年度税制改正大綱を決めました。1222日に税制改正大綱を閣議決定し、1月召集予定の通常国会に税制改正法案を提出し、今年度中の成立を目指します。

税制改正大綱には「一億総活躍社会を実現し、日本全体の成長力を底上げしていくためには、働き方改革とイノベーションが両輪となる」とあります。

大綱の目玉は、配偶者控除の見直しです。女性の社会進出を促す「働き方改革」の一環としています。年収要件を103万円から150万円に事実上拡大する。103万円は企業の配偶者手当の基準になっている場合も多く、パート主婦が就業調整して働く時間を抑える傾向にありました。パート主婦が働く時間が増やしやすくなるとしています。

一方、従来より社会保険には130万円の壁があります。この額を超えると社会保険に加入する必要があります。配偶者控除150万円の基準を設けても、130万円を超えてはあまり増えない可能性があります。

また、今年の10月からは新たに社会保険の106万円の壁ができています。社会保険の適用対象が所定労働時間については週20時間に引き下げられ、年収106万円という年収要件も加わります。このため、501人以上の大企業に勤めているパート主婦は、夫の扶養に入る以前に自分の勤務先で社会保険に加入しなければならなくなります。となると、年収を106万円に抑えようという動機につながっていきます。

税制改正では所得を増やしやすくし、社会保険制度では減らす方向性となっており、アンバランスなものになっています。税金は減ったけれど、社会保険負担は増えたということになりかねません。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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