第114回 退職金をもらったときの確定申告

元気ですか! 福岡市の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

今日315日は確定申告の期限日です。退職金所得について確認しておきましょう。退職金所得は分離課税です。退職する人から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けているか否かで取扱いがかなり異なってきます。実務的には、退職する人に書いてもらい、会社に保管しておく必要があります。

「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合、退職所得は次の計算方法で算出して源泉徴収します。

(退職金-退職所得控除額)×12=退職所得の金額

退職所得控除額は、勤続年数が20年以下のときは1年当たり40万円、20年超からは1年当たり70万円となります。ただし、「退職所得の受給に関する申告書」がない場合は、退職金に20.42%の税率を乗して計算した金額を源泉徴収しなければなりません。

例えば、2,500百万円の退職金では、勤続年数を30年とすると、「退職所得の受給に関する申告書」があれば572,500円の源泉徴収となりますが、不備の場合は5,105,000円の源泉徴収額と多額になります。最近の税務調査では源泉徴収額を厳しく見られますので、会社側で一旦、これを支払うとなったら大変です。

退職金を受け取った個人からいえば、一律20.42%の源泉徴収を引かれている場合は、確定申告すれば、他の所得がないとすると差額の4,532,500円が還付となります。

役員等の勤続年数が5年以下である場合、平成25年分以後は退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が退職所得の金額になり、計算式の1/2計算の適用はありません。

「退職所得の受給に関する申告書」により源泉徴収を受けていても、確定申告の控除額が残っていれば還付になることがありますので、今一度、計算してみましょう。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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