第85回 一般社団法人と公益社団法人

IMG_0107元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成18年の公益法人制度改革により、従来の民法による社団法人に替わって、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により一般社団法人が、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」のより公益社団法人が設けられました。

公益社団法人は設立時に行政庁に公益認定を申請する必要があるのに対し、一般社団法人は設立登記のみで許認可は不要です。公益社団法人は毎年度、行政庁に報告義務があって、3年ごとに行政庁による検査を受けます。

行政庁とは、複数の都道府県に事務所を設置する場合は内閣総理大臣、一つの都道府県のみであれば知事となります。一般社団法人は、行政庁に対する報告義務等はありません。

公益社団法人は、原則、会計監査人を設置しなければなりません。ただし、費用負担を伴うため、一定の基準に達しない場合は設置を義務付けられていません。一定の基準とは収益1,000億円未満、費用1,000億円未満、負債50億円未満の全てを満たす場合ですので、そうそう基準を満たす法人は考えられません。

公益社団法人は公益目的事業から生じた所得は課税対象にはなりませんが、収益事業に対しては法人税が課税されます。一般社団法人のうち、非営利法人の要件に該当する場合は、同様に収益事業にのみ法人税が課税されます。公益事業には課税されません。

非営利法人の要件とは、剰余金の分配を行わないこと、解散したときは残余財産を国・地方公共団体等に贈与することを定款に定めていること等です。

非営利法人に該当しない場合は、法人が行う全ての事業が課税対象となります。株式会社、合同会社と同じです。非営利法人の要件である配当不可、残余財産は国等に贈与は、中小企業の経営者にとってはハードルが高いですね。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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