第86回 「プライベートバンカー」

プライベートバンカー元気ですか! 公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

お盆休みに清武英利著の「プライベートバンカー カネ守りと新富裕層」を読みました。清武氏といえば、巨人の球団代表(GM)を2004年~2011年まで務めていましたが、球団を告発し、巨人軍の職をを解任されています。このことは読後に気がつきました。もともと読売新聞記者でしたので、取材・文章力はあったのでしょう。2014年頃から特攻隊、ソニー、山一証券などのドキュメントを出版しています。

被相続人と相続人がともに五年を超えて日本の非居住者であるときは、日本国内の財産にしか課税されないという、通称「五年ルール」を満たすために、多額の資金をシンガポールに移し、五年間を過ごす日本人が実例を交えながら描かれています。

人生「あがり」となってしまって、相続税を免れるためだけに海外で過ごす日本人です。元パチンコ業者は30億円の資産を有し、日本人のプライベートバンカーからお世話を受けます。金持ちになって南の島でのんびり何も考えずに暮らしてみたいと憧れる人は多くても、実際になってみると空虚さは半端ないようです。

仕事もなく、友人もなく、海外で暮らす新富裕層の辛さに、家族が耐えられくなります。息子の嫁が最初に脱落して日本に帰ってしまう例が多いそうです。日常、お金のために忙しくしていますが、改めて「なぜ生きる」を考えさせられます。

平成27年度税制改正により、「国外転出時課税制度(出国税)」が創設され、201571日以後に国外転出をして、1億円以上の対象資産を所有等している場合には、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税されます。

また、自動的情報交換制度が2017年から導入され、個人と非上場会社が海外に持つ金融口座の内容が、海外の税務当局を通じ、国税庁に情報が流れることになっています。

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